こぼれ落ちるため息は贅沢だ

日々いろいろのこと。彼さんとのこと。わたしのこと。

チルチルさんとミチルさん

青い鳥 (新潮文庫 メ-3-1)

朝、ごみを捨てて、会社にゆく彼さんを見届けて

疲れから、布団に戻って眠ってしまっていた。

先週から朝の習慣になっていた金魚のエサやりは、もう少し後でいいかと思って、

午前中の歯医者の予定もキャンセルして。

 

起きたら、二匹のうちのおおきなほう、

ミチルさんが動かなくなっていた。

 

ああ、やってしまったと思ったし、

かなしい、とも思ったし、

昨日まで、なんでもないように見えていたのに。

ただ久しぶりの、なくすという感覚に混乱してもいた。

ミチルさんを放っておいたら、チルチルさんも弱ってしまう。

そう思って、ひとりでミチルさんを引き上げて、

ティッシュに優しくくるんで。

 

お祭りで金魚すくいをしようと言ったのは彼さんだった。

その日すくった一匹がチルチルさんで、

おまけでもう一匹もらったのがミチルさんだった。

ちゃんと飼えるよね、と話をして、その日のうちに近所で一番大きなペットショップで、お店の人に相談して水槽と飼育セットを買った。

小さなころにはできなかった最善のことをしてあげたい、

そう思っていたはずだったのに。

 

午前で仕事終わりの彼さんに連絡をして、

チルチルさんのために水槽の水換えをしてもらい、

二人で川の近くの公園にミチルさんを埋めに行った。

木の棒で穴を掘り、ミチルさんを埋めて、手を合わせて。

生きものと生きるということはそういうことだった。

部屋で泳いでいるはずのチルチルさんを思って、不安になる。

 

水槽という閉鎖的な空間は、とても不安定だ。

水温も水質も数値で見ることはできても感じることはできない。

 

チルチルさんはまだ生きている。

不安定な水槽をどうにかしてあげたい。